停電による定期点検

【電気設備安全ガイド】停電による定期点検について

1.定期点検の目的

「電気設備技術基準」は、電気設備施設者が守らなければならない、最低限の維持規則です。
「定期点検」は、自家用電気工作物がこの「電気設備技術基準」に適合しているかどうかを調べる為に実施されるものです。
特に、電気設備を停止して、測定や試験を実施した場合は、五感による日常(巡視)点検では、不可能だった箇所の点検や清掃も実施できます。したがって、電気設備の異常を早期発見する度合いが高く、電気事故を未然に
防止するために重要な点検です。

2.定期点検の必要性

設備の劣化故障パターンを、時間の経過との関連で調べ上げていくと故障推移曲線(バスタブカーブ)が描かれます。電気設備の耐用寿命は、このバスタブカーブの偶発故障期間の長さに、ほぼ比例すると考えるのが一般的です。したがって、この期間を少しでも延ばすには、適切な補修時期を見つけるための「定期点検」が必要となります。

設備の劣化故障パターンを、時間の経過との関連で調べ上げていくと定期点検の総識者は、万が一にも、事故にならないよう、慎重に計画し、成果をあげて、責任と義務を果たさなければなりません。3.実際に定期点検はこのように行なわれます

(1)まず実施計画をたてる
お客様と次の事項を点検予定日の1ヶ月半前までに相談し決定する。
1. 担当主任技術者と点検実施予定期日
2. 作業時間及び停電及び復電時間の予定
3. 定期点検の内容と作業人数
4. 連絡責任者の点検立会い

(2)事前準備を万全に
次の事項について準備をする。
1. 設備の事前確認
2. 作業協力者の手配
3. 必要機材等の準備
4. 電力会社への引込用分岐開閉器操作依頼を行なう。
5. 作業分担と各作業者の担当割振り。

(3)責任体制及び安全対策確認
1. 作業人員は電気管理技術者等が2人以上で行なうことを原則とする。上記の場合、その事業場の受諾者である電気管理技術者が点検の責任者となる。
2. 責任者は作業協力者との作業方法等の打ち合わせを十分に行い、事故防止を図ること。

(4)定期点検の注意点と実務
1.作業現場状況の把握
作業日の季節、許容停電時間、現場の照明などの諸条件を把握して、計画の中に組み込みます。
2.点検作業能力の把握
作業従事者の知識・熟練度などの能力、測定機材の充実度、作業量と所要人員などを把握して、事前の準備を進めます。
3.停電範囲の徹底
作業現場事業場の電気使用責任者を通じて、電気使用関係部門へ停電の周知徹底をはかります。単線結線図と照合しながら、作業関係者全員に、停電範囲と作業内容の周知、および個々の持場分担の確認をする。
4.停電操作
操作者を指名し、所定の操作基準に基づいて、受変電設備を停電させます。
5.点検作業
A.目視点検一般的に電源側から順次、観察点検を進めますが、停電状態でなければ実施できない箇所を、重点的に調べるようにします。
B.測定試験接地抵抗測定、絶縁抵抗測定(高・低圧)、保護継電器の各動作特性試験、遮断器の動作試験、変圧器油の絶縁破壊電圧試験・酸価度測定等の、所定の業務を実施します。
6.送電操作
所定の操作基準に基づいて、受変電設備を送電します。
7.送電後の確認
設備が完全に作業前の状態に復元されており、支障なく稼動していることを確認します。作業結果や成績記録の内容をチェックして、報告書作成に備えます。

(5)定期点検後の処置
<不良箇所及び要改良箇所の処置>
定期点検において、点検・試験の結果、至急修理あるいは改修を必要とするものを発見した場合には、設置者にその旨懇切に説明し、改修を要請するとともに、「自家用電気工作物に関する連絡書」を2通を作り、1通はお客様に提出し、1通は設置者の確認印をもらって電気管理技術者が保管し、不良箇所等の改修・改善に努め、事故の未然防止を図ることが、電気管理技術者等の重大な任務の一つと考え、時期が遅れないように実行することを心がけています。

4.お願い

お客様の業種や、建物の稼働状況によっては「停電作業」はできない、または難しいとお考えかもしれません。
しかしながら、高圧電気設備がどの程度劣化しているか、地絡事故の際に継電器が正常に作動するかなど、1年~3年に一度精密な試験・測定などを行なっていないと万一の場合に自己所有の設備の故障・破損はもとより、地域停電まで発展する事故などを起こすと、近隣の方々にご迷惑をおかけする事態をまねきかねません。

空調などを使わない季節と時間帯を調整し、定期点検を実施する計画を立てて下さいます様、お願いします。

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