雷による影響

【電気設備安全ガイド】雷による影響

1.雷放電の概要


2.法律上の規制について
雷雲中に生じる電荷が大気中で絶縁破壊を起こし、地表上に放電する現象をいい、電流値は20~150KVA程度といわれています。雷電流が流れますと、そのまわりに生じた電磁波が配線電路を横切る時に、その電線に磁界強度の急激な変化が生じ、誘導雷サージが発生します。誘導雷サージは、電線路を伝わって、両端に接続されている自家用需要設備に、瞬間的に激しいエネルギーを加え、高圧機器等を破損します。誘導雷サージ電圧は、例えば、電線路と落雷地点の距離が50~100mで、雷電流が100KAの場合、400~500KVと予測されます。

<電気設備技術基準・解釈第41条>では、
「高圧架空電線路から供給を受ける受電電力の容量が500KW以上の需要場所の引込口には、避雷器を設置しなければならない。」
と規定されています。電技・解釈では、500KV未満の需要設備には避雷器の設置を必ずしも義務づけておりませんが、雷による危険度は、設備容量の大小によって異なるものではないので、多雷地区では設置することが望ましいといえます。

3.雷による事故について

経済産業局管内のある年度の参考例によると受変電設備の電気事故186件中、雷による被害件数は31件でかなり高くその被害機器名と占める割合は、下記の通りです。

遮断器(22%)、計器用変成器(19%)、電線・導体など(10%)、断路器(6%)、高圧交流負荷開閉器(6%)、その他(37%)

4.雷対策として

受電電力の容量が500kW未満であっても、避雷器の設置が望ましいと思われます。

(1)避雷器とは
雷および回路の開閉などに起因する衝撃過電圧に伴う電流を、大地へ分流することによって、過電圧を制限して、電気設備の絶縁を保護して、かつ、続流を短時間に遮断して、電路の正規状態を乱すことなく原状に自復する機能をもつ装置をいいます。


(3)架空地線による雷サージの抑制
(2)避雷器の誘導雷サージの抑制効果
避雷器は誘導雷サージに対して機器、碍子等との絶縁強調を保つため、一般に使用されるので、これらの近くに、設置すれば絶縁強調の効果を高めることができます。しかし、直撃雷によるフラッシュオーバーを防止することはほとんど期待できないので、避雷器の設置は、誘導雷サージの抑制による事故防止が主目標となります。

架空地線は、雷直撃時の逆フラッシュオーバーの防止、誘導雷サージ並びに近傍落雷時、線路導体・支持物などから生じるコロナストリーマの抑制に効果があり、配線電路でも耐雷施設の一つとして使用されています。

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